* 月の終わり *
-the end of the moon- part.17
………あれ?
体が、軽い…。
そっか。オレすっごい痩せちゃったから?
あ、人がいる…。
「……あ!大石!!」
「英二!」
「ねえ大石、ここはどこ?オレ何しに来たんだっけ?」
そういうと、大石はくすくすと笑った。
「な、なに笑ってんだよぉ…」
「まだ気付いていないのか?まあ、英二らしいといえば
英二らしいけど…」
ん?
どうゆうこと??
そういわれると、なんか大切なこと忘れてるような…。
え〜っと…。
「あ!!!そうだ、オレ…」
「思い出したか?」
そうだよ、オレ、確か病院で入院してて、それで…。
「そっかぁ〜。オレ死んじゃったんだ…」
そうそう、いろいろ思い出してきた。
青学のみんながお見舞いに来てくれて…。
………んん?
「大石!久しぶりじゃん!!」
「やっと気が付いたか」
そういってまた大石は笑った。
そうだよ、この間まで一番近くて、
この前まで一番遠くて。
それでまた、近くに来れた…。
「大石…!」
「英二」
オレは大石に抱きついた。
久しぶりだ、この感覚。
優しくって、温かくって、安心する…。
「…英二?」
「もうちょっと…」
「はいはい」
動きたくない。
このまま溶け込んじゃいそう…。
それに…。
とりあえず、もう少しこのまま。
「…あれ、英二もしかして…」
「うるさい大石!オレ泣いてなんかないからな!!」
胸に顔をうずめたまま言った。
「わかった、わかった」
大石の苦笑いする顔が浮かぶ。
…くそぅ。
オレの行動、全部大石に読まれてら…。
悔しいけど、ちょっと嬉しかったりもした。なんてね。
「…で、ここってどんなところなの?」
落ち着いてきたオレは、ガバッと顔を上げて言った。
大石は上を向いて、そうだな〜、と言った。
そして、笑って言ってきた。
「すごく平和で楽しいところだよ。英二、案内してあげようか?」
「うん!してしてっ!」
「じゃ、行こうか」
大石は、オレの方に腕を伸ばした。
オレはその手を掴んで思い切りの笑顔で言った。
「うんっ!」
そして、二人で駆け出した。
どこへ行くのかわからなかったけど、
大石と一緒だったら、どこだって怖くない。
どこまででも行ける気がした。
二人一緒なら…。
***
―…こっちの世界には月がない。
でも、もう月を見なくても淋しくない。
悲しい思いをしてまで月を見る必要もない。
それもまた少し淋しい気もするけど、でも、
オレはもうホントの幸せを手に入れた。
『英二』
ただ一言そう呼ばれるだけで、
オレの心には翼が生えた―――。
the moon has ended...
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どもっス!
長かった月の終わり菊丸編もここまでです。
いや…なんと言いましょうか。
この話を書こうと思ったきっかけは、
“いろんな方法で英二さんを絡ませた裏小説が書きたい”
だったりします。(爆死)
始めに思いついたのが1P。今までにない展開。
そして青姦。未遂ですけど。
んでもって3P。声だけの意味不明なものになりましたが。(死)
いや、紙に書いた方ではみっちりやってたんですが…。
長すぎるし…話の筋を立てるために泣く泣く削減。
他にSMとかやりたかったんですが。(コラ)
そんなことやるともう英二さんその場で死にそうなので(本気)
諦めたとか言う秘話が…。
とりあえず楽しかったです。書いてて。
大変だったけどね。
といってもまだまだ別キャラ編で続くのですが。
続くというか番外編ですか?まあいい。
ここまでお付き合い頂いた方、ありがとうございました。
それではまた^^
2002/09/15