* skew position -part.23- *
何故か分からないけど、胸騒ぎがした。
そのようなこと、滅多に有りはしないのに。
突然、アイツの声が聞きたくなった。
気付くと、電話を握っていた。
『……もしもし』
「あ、不二?俺だ」
声が聞けて、何故か妙に安心した。
『…手塚。どうしたの?』
「いや…急に声が聞きたくなってな」
『そう………ねぇ、手塚』
「ん?」
『僕が愛してるのは、君だけだよ……』
「――」
その声が、何故か淋しそうで。
遠くにいってしまわないか不安だった。
「……俺も、愛しているのはお前だけだ」
『良かった…手塚……』
そして、不二の声は泣いているように聞こえた。
気のせいかもしれないが、そう感じた。
「不二、今から…うちに来るか」
『…うん』
「それじゃあ、待ってるから…」
『手塚!』
「…どうした?」
突然声を張り上げるから何かと思えば、
訳の分からない言葉。
『ゴメンネ』
「……お前に謝られる憶えはない」
『そっか…アリガト』
「…礼を言われる憶えも特にない」
『ははっ…そうかもね。それじゃ、今から行くから…』
そうして、電話は切られた。
なんだか、いつもと様子が違う気がしたが、何かあったのだろうか?
来たら、訊いてみるか。
俺には、不二の言葉しか、
信じるものはないのだから……。
『ピンポーン』
そんなことを考えているうちに、チャイムが鳴った。
「早かったな……不二?」
「手塚……」
ドアを開けるなり、不二は俺に抱きついてきた。
その肩を、そっと包むようにした。
小刻みに震えていた肩は、今にも崩れそうだった。
「不二、お前…大丈夫か?」
「手塚っ…!僕から、離れないでね…」
「……ああ。分かっている」
背中に回された腕に力が篭った。
なんだかその腕がぎこちなく感じられたのは、
不二が震えていたからなのだろうか…。
そこのところは、よく分からない。
「僕…手塚のことアイシテルから」
「…俺も、だ」
優しい言葉と、合わさる唇。
それだけが、唯一相手を信じることが出来るものだった。
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菊丸英二
2002/12/19