| 彼はいつも人の世話を焼いている。私はそれを横の席から見ている。 そんな彼が今日は人から世話を焼かれまくっている。 「大石くんお誕生日おめでと〜! お菓子あげる!」 「今日誕生日? じゃあプリント俺がついでに職員室持ってってやるよ」 その一つ一つに「ありがとう」と返す彼の笑顔はいつも通り。だけど一つため息を吐いたのを私は見逃さない。 机に頬杖をついたまま、消しゴムを床に向かって弾いてみる。大石が拾ってくれたから「ありがとう」と返した直後に、また転がしてみた。拾いながら、不思議そうに見上げてくる顔に向かって言ってやる。 「そろそろありがとうって言われたいんじゃないかと思って」 大石は、なんだそれは、と苦笑いを見せたので、今度は消しゴムの代わりに四つ折りにした紙を机に向かって投げてやった。『お誕生日おめでとう。今日くらい肩の力抜きなよ。』と書いた紙を開いて、やられたよ、と言いたいように眉尻を下げて見慣れた笑顔を見せた。 |