* 月の終わり *

-the end of the moon- part.15












精神が安定しなくて、ご飯が食べれない。
胃に何も入っていない状態なので、薬も飲めない。
精神は不安定のまま。

一回、何も食べない状態で飲んでみたけど、
胃が荒れてすっごい痛くなって、どうしようもなかった。

結局、オレは睡眠薬に頼り、
ほとんど寝るだけの生活に沈んでいた。

家族のみんなが何度もお見舞いに来てくれたけど、
オレの病態は悪化するばかり…。


「英二くん…随分、痩せたね…」

ある日、白川さんに言われた。

「ちょっと、体重量ってみようか?」
「はい…」

そう言われて量った体重の数値は、40を切っていた。

「在り得ない!36キロ…!?」

白川さんの顔は青ざめていた。

「英二くん、身長何センチ?」
「えと…170、ぐらい」

言い終わるころ、白川さんはすでに部屋を飛び出していた。

36キロ、かぁ…。
20キロぐらい減った?
あ〜…頭働かない。

数分後、白川さんは走って戻ってきた。
息切れしてる。
一緒に、…この前の精神科の先生が来た。

「先生、この子、体重が…40キロ無いんです」
「なんだって…?」
「身長は、170ぐらいだそうです」
「それは…相当危険だな」

何…オレそんなにヤバイの?
最近ほんとに食べてなかったから…。

「先生!この子を…助けてあげてください!お願いします…」
「う〜ん…」

泣き付く白川さんに、生成は腕組みをした。
少し考えると、胸ポケットからなにやら薬を取り出した。

「これは…なるべく渡したくなかったんだがな。
 食欲増強剤だ。ここまで来たら少し無理矢理にでも食べるしかない」
「はい…」

オレは小さな袋を受け取った。
また薬か…。

「これでも、だめだったら…」
「…?」

先生が何か言いかけたので、そっちを向いた。
そしたら先生は、不自然に視線を逸らした。

「いや、なんでもない。お大事にね」

先生はそそくさと帰っていった。
白川さんはどたばたと部屋を駆け出して行った。
そして、オレの食事とお水を持ってきてくれた。

「早速、食べてみる?」
「はい…」

オレは薬を飲んだ。
少しすると、突然狂ったように食欲が湧いてきた。

「…いただきます」
「どーぞ」

オレは、出てきた食事をぺろりと平らげた。
それでも、食欲は治まることなく…。

「…おかわり」
「はいはい!」

白川さんは嬉しそうにおかわりを持って来てくれた。
久しぶりに、たくさん食べた。


でも、それが新たなる災難だとは、
気付く由も無かった。



――食べても食べても吐いてしまうのだ。

食べ終わって30分後、オレは洗面台から動けずにいた。
毎食毎食それが続いた。
必要以上に食べてしまい、今度は吐いてしまう。

過食症と診断された。

薬を飲むのをやめると、今度はめっきり食べれなくなってしまう。
先生も、とうとう首を横に振った。




オレはもう、窓の外を見ることは無かった―――。

























嗚呼英二さんっ!(涙)
辛い…辛すぎるぅ!
もう…この話も終わりですね、そろそろ。
次回はいよいよクライマックス…。
といってもその後もう一話あるんですが。(何)
病み英二。つか闇英二。遊戯かいっ!


2002/08/30