* 月の終わり *

-the end of the moon- part.6












授業も終わって、いよいよ放課後の部活だ。
不二には無理しないで休んだら?って言われたけど、
そうそう休むわけにはいかないもんね!
全国目指してるわけだし!

もう…大石と一緒に目指すことは出来ないけど。
そういえば、オレって誰と組むんだろ?
もしかしてシングルス転向とか?それはないか。
だって…今のオレには“パートナー”がいないわけだし。

いつでも的確なアドバイスをくれて。
後ろから支えてくれて。
共に高めあってきた、最高のパートナー。
もう二度と、一緒に戦うことはできない。

………。

やっぱ、辛いや……。
平気になったはずだったのに。
そうだよね。
もともとオレと大石は、ダブルスのパートナーで。
だんだん親しくなって。
それからだもんね、
いわゆる、“恋人”みたいな関係になったのは。

…そんな関係にならなければ、
こんなに悩むこともなかったのかな。
こんなに苦しむこともなかったのかな。
もともと、ダブルスのパートナーにならなければ…。

………。

それもやだけど。
でも……。

くそぅ。大石のヤツ。
残された方の身にもなってみろよ。
恋人なんだったら、最後まで責任取れよな!

「……っ」

また涙がじわって浮き出てきた。
だって…。

もう少し一緒にいたかった。
もっと一緒にいたかった。
ずっと一緒にいたかった。
でも、それはもう叶わないんだね。
………大石。



「………」

結局部活には出て来たけど、
なんだか大石のいないテニス部はあどけない感じがした。

「青学テニス部集合!」

手塚の声が集合が掛かった。
手塚の横にいるのは…不二だ。
…大石がいなくなって、不二が新しい副部長に就任した。
なんか変な感じ。

「…というわけで、ボレーの練習を行うのでレギュラーはコート内に。
 2,3年はボール出し、1年はボール拾いに回れ!」

……。

「菊丸」
「……」
「菊丸!」
「えっ?あ、ああ!にゃに、手塚」
「レギュラーは早くコートに入れ。お前の得意なボレーの練習だろう」
「あっ、うん」

言われてみれば、部員は全コートとその周りに広がってる。
いつの間にかボーっとしてたみたい。
早く行かなきゃ…。

走り出そうとしたとき、後ろから声がした。

「英二」
「ほえ?」
「大丈夫?無理しないでね」
「うんにゃ。大丈夫!」

不二は、オレのことすごく心配してくれてるみたい。
…うん。
みんなに心配掛けないためにも、元気に振舞わなきゃ!


「ナイッショー!」

放ったボレーが、鮮やかにコートに決まった。

「英二、調子いいじゃん」
「ん。ありがと」

そう、今日は調子悪いと思ったけど、
予想外にショットがうまく決まっていく。

ボール一つに集中したから。
少なくともプレーをしている間は、考えなくて済む。
頭の中を空っぽにして、とにかく走り回った。
気持ち良かった。
汗を掻いて、スッキリとした気分になれた。

























英二さん、悩んでますね。
精神的に不安定な時代…。(何)
この辺では波打ってるのですね〜。
元気な自分と大石のことで落ち込んでしまう自分と。
闇に飲まれたら終わりだ!英二っ!!(誰)

これからさきは…お楽しみv(を


2002/08/17