* 月の終わり *
-the end of the moon- part.9
……。
オレは、今日学校を休んだ。
頭の中はボーっとしてるし。
なんかクラクラするし。
…腰は痛いし。
オレは昨日熱があるって事になってたから、
オレが頭痛いといったらお母さんはすぐに学校へ欠席の連絡を入れてくれた。
…今は朝のショートホームルームのころかな。
不二は心配してるだろうなあ。
昨日あんなこともあったし…。
…あ〜あ。
なんかすっごい自己嫌悪。
もっとしっかりしなきゃ。
みんなに迷惑掛けないように。
また、いつもみたいに笑って“おはよう”って言えるように。
でも……。
一人の人のことを考えるだけで涙は溢れてくる。
オレの中で大きな割合を占める存在だって事はわかってたけど、
まさかここまで大きかったなんて…。
いなくなって、自覚するなんて。
……。
また、涙が滲み出て来た。
くそ、なんで出てくんだよ。
…こういう時は、顔を洗ってさっぱりするか!
「うっ…!」
立ち上がって、腰に走った激痛に思わず顔をしかめた。
「チックショ〜」
よろよろとした足取りで、オレは洗面所へ向かった。
「英二、もう起きたの?もっと寝てても良かったのに」
お母さんが台所から顔を出して言ってきた。
「んにゃ。もう大丈夫〜」
なんてね。
ホントは全然大丈夫なんかじゃないんだけどね。
でも、自分に言い聞かせることにした。
大丈夫、大丈夫。
オレは洗面台の前に立つと、鏡に向かってニカッと笑ってみせた。
のに。
「……あれ?」
鏡に映ったのは、悲しそうな顔をした自分。
口は笑ってるようにも見えるけど、
……眼は完全に泣いていた。
「あ、あれ?どうして…」
今度はニコッと微笑んでみた。
でも、さっきと一緒で。
「あれれ?変だな。オレ笑うの得意だったはずなのに…」
オレっていつもどうやって笑ってたっけ?
何を考えて笑ってたっけ?
……そうだ。
いつもは、笑えば笑い返してくれる人がいたから。
その人の笑顔が見たくて、前ではいつもニコニコしてた。
「オレ…もう…笑うことすら出来ないのかな……」
涙が、ポタリと垂れて流しに流れていった。
「英二、もう朝ご飯食べる?」
「ん〜…オレやっぱもう少しだけ寝ることにする」
「あら、そう?」
オレは親に背を向けたまま洗面所をあとにした。
ゆっくりとはしごを登って、ドサッとベッドに倒れこんだ。
……。
天井を見上げると、あの人の顔が浮かんできた。
……大石。
好き。
許されない、わかってる。
でも好き。
これは、否定しようのない事実。
なのに、叶うことなど在り得ない。
お互い、もう一度同じ時を過ごすなんてこと…。
…自殺だって考えた。
もしかしたら、死んだら大石と同じ場所にいけるんじゃないかって。
少なくとも、この苦しみからは抜け出せるからって。
でも、死ぬわけにはいかなかった。
もともとオレは死に損なったんだから、って考え方もある。
でも、オレが今ここにいるのは大石のおかげだから。
大石が、自分の命を捨ててまで守ってくれたこの命。
粗末には出来なかった。
いや、オレが大石の分まで生きなくちゃ。
そう心に誓った。
でも。
一人で生きていくってのも、辛かった。
周りに支えてくれる仲間はいる。
でもやっぱり、オレにとって欠かせない存在の死は、
予想以上に大きかったんだ。
「大…石……」
目は閉じてるのに、涙は出てくる。
その雫は、ついとオレの頬を伝って布団に染みた。
……。
気付くと、オレは寝ていた。
ゆっくりと身を起こして、時計を見てみた。
…12時半。
結構寝たな。
寝起きだけど、不思議と頭はスッキリしてる。
眠ってる間は忘れられるから?
考えずに済むから?
苦しまなくて済むから…?
そう思うと、悲しくなった。
なんだかんだいって、自分は大石から逃げてるってことに気付いたから…。
オレだって、立ち向かう勇気が欲しい。
考えても大丈夫なような強さが欲しい。
…無い物ねだり。
所詮、そんなの今のオレには無いもの。
手に入れることの出来ぬもの。
…大石。
オレ、どうすればいい…?
深呼吸に似た溜め息をついて、
オレはゆっくりとベッドから降りる。
窓を開ける。
バッと風が吹き込み、カーテンがなびいた。
心地良かった。
真上の空に太陽が見えた。
今度こそ、オレは朝ご飯(あ、もう昼か)を食べようと足を運んだ。
→
ほいほいっとね〜。
英二さん、ボロボロになって参りました。
痛々しい…。(書いておきながら何さ)
英二さんはお母さん派希望。(何)
母ちゃんの方がいいかなと思ったけど、
なんとなくお母さん。
どうなのでしょうね。
普通に母さんとか…?
ママだったらどうしよう…。(ドキドキv)
ってなに考察してんだろ。(汗)
2002/08/18