* skew position -part.13- *
「それでは、今日の部活を終了する…解散!」
「「ありがとうございました!」」
今日も、いつも通りに部活が終わった。
最近は雨が降ることが多かったけど、
今日は久しぶりに晴れた。
久しぶりの部活だった。
…久しぶりに、部長を見た。
俺は…部長のことが好きだ。
始まりは、初めて部長試合をしたとき。
親父以外のやつに、初めて負けた。
悔しかったけど、新たなる目標が出来た。
ずっと気にしてた。
部長のことばっか見てた。
気付いたら…好きになってた。
俺は、決めた。
「部長」
「どうした、越前」
「今日この後、残ってくれませんか」
「……わかった」
部長を、必ず手に入れてみせる。
俺のものにしてやる…。
**
他の部員は帰った。
残ったのは、俺と部長だけになった。
「それで、なんのようだ」
訊いてくる部長に、俺は一言だけ伝えた。
「俺、部長のこと好きっス」
「………」
部長は黙り込んだ。
いつもみたいに、固い表情で。
俺は、その部長の目をまっすぐ見続けた。
暫くすると、部長は大きな溜め息をつくと
呆れたような声で言った。
「用件はそれだけか」
「それだけってなんスか!俺は本気です」
「…俺にその気はない」
「……っ」
飽く迄も断る姿勢でいる部長。
だから俺は言ってやった。
「不二先輩なんて遊んでばっかじゃん」
「………」
「俺は絶対そんなことない!」
部長は目を伏せると低く落ち着いた声で言った。
「不二は…本当に愛しているのは俺だけだと言ってくれている」
「そんなの嘘だよ!この前も…菊丸先輩とヤってたんでしょ!?
部長騙されてるっスよ!」
「越前」
「………」
それ以上は、何も言えなかった。
沈黙が続いた。
それを破ったのは、桃先輩だった。
遠くから、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「えちぜーん!どこだー?」
「あ…」
「呼ばれているぞ。早く行け」
「でも…!」
「………」
「…失礼します」
睨んでくる部長に、言い返すことなど出来なかった。
俺は礼をすると鞄を持って部室を飛び出した。
むしゃくしゃした。
どうでもいいからこの思いをどこかにぶつけたかった。
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越前リョーマ
2002/11/01