* skew position -part.19- *












桃は…海堂が好きだった。
このままで、いいのかな?
確かに、付き合いませんかって言ってきたのは桃だったけど。
海堂は、…乾ときっと付き合ってるけど。

…桃も、縋り付く相手が欲しかったのかも…な。

オレも、一緒に居る相手が欲しい。
少なくとも、桃のこと嫌いじゃないから。
ううん、好きだから。
だから、一緒に居てほしいと思った。
でもさ…やっぱり…オレは大石のことが好きでサ。
結ばれるとか結ばれないとかの問題じゃなくて。
お互いが求めてたって、本当は、これはあっちゃいけない関係だったと思うんだ。

桃に、さよなら、言おう。


その後、オレはどうするんだ?

…オレはずっと不二と大石を避けてる。
不二のことは目もまっすぐ見られない。
大石は部活ではちょっと話すけど。パートナーだし。
(大石もなんだかんだいってオレには気を遣ってくれる)

どうやってこの状況を抜け出せばいいんだろ。
不二としてしまったことは…消せない。
オレの思いの中からも消えてくれない。
そうである限り、オレは大石の前で笑えない。
大石に…サヨナラ言ったほうがいいのかな。

そうだ。
こんな中途半端な状態だから辛いんだ。
ずっと引っ張ってたけど、すっぱり切っちゃったほうがいいんだ。
辛いけど…それしかないと思うんだ。


オレから、サヨナラ言わなきゃ。

…何でこの前それをしなかったんだろ。
あんなところ見られて、二人きりになって。


「………」


大石のことが好きだったから…。
あんなことをしながらも、本当は縒を戻したいとか思ってるオレがいる。
…何考えてんだ。

別の人に気を向かせようとしたり、
そのくせに愛することが出来ないのがわかってるから
付き合ってる人が居る海堂を見てみたり。

相談相手だった桃に抱かれてみて、
気を紛らわそうとしたり。

とりあえず大石に気を向かせないようにした。
嫌われようとした。
なのに。


―…どうして涙が止まらないのか。



大石……。
傍に居てほしい。
愛は要らない。くれなくていい。
そのほうが余計辛いから。
なんて、ずるいよね。

…サヨナラしなきゃ駄目だよね。



『プルルル』

電話、誰から…?

「…もしもし」
『英二?』
「お、いし…」
『ちょっと話があるんだけど…今、いいかな?』
「ん。分かった」

『ピッ』


…きっと別れ話だ。
オレもう大石からは聞いたよ…。
もう、疲れた、だっけ…?

「……っ」


ヤダ…もう聞きたくない。
オレからサヨナラ言って、それで終わりだ。


傍に居たいなんて、ゼータク、言っちゃ、いけない。
























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2002/12/17