* skew position -part.20- *
「……」
俺は、とりあえず英二に本当のことを聞いてみようと思う。
海堂のこと。
桃のこと。
不二のこと。
俺のことをどう思っているのか。
あの日…あの雨の日、英二は俺に泣きながら縋り付いてきた。
俺は、まだ嫌われて…居ないのか?
じゃあ桃とはどうして…やはり分からない。
…不二のこともどこまで信用していいのか分からない。
でも原因が不二で…あの話が本当なら、
英二も話してくれるか分からないけど。
「……英二」
「大石…」
顔を上げると、そこに居た。
口は笑っていたけど、目が泣いているようだった。
いきなり訊くのも悪いと思い、
とりあえずこの前のことを話題にした。
「この前は…ごめんな。俺も気が動転してて…」
「いや、もういいんだ、大石。今まで…ありがと」
「英二!?ちょっと待て!」
「もう、区切りつけよ……大石」
言いながら、英二は後ろを向いた。
俺に顔を見せないように。
俺は必死に英二を引き止めようとした。
「やっぱり…俺のこと嫌いになったのか!?
心は他の人に向いてしまったのか!?」
「……バイバイ」
「答えろよ!」
俺は立ち上がって、
行ってしまいそうになる英二の腕を咄嗟に掴んだ。
しかし…英二はそれを振りほどいた。
「っサヨナラ!」
「英二!!」
そのまま、走ってどこか遠くへ行ってしまった。
一人残された俺は、ただ佇むだけだった。
「英二…どうして、だよ…」
遠くに言って見えなくなってしまった英二の背中が
助けを求めているように見えたのは、
やはり俺の錯覚だったのだろうか…。
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菊丸英二
2002/12/17