* skew position -part.22- *
英二が走り去ってしまった後、僕は一人になって。
自分自身に何やっているんだろうとか苦笑しながら、
でも、他に答えが見つからなくて。
分かってたんだよ。
叶う筈がないって。
敵うはずがないと分かってたから、引き裂いた。
無理にでも奪い取りたかった。
壊してやりたかった。
傷つけてでも…手に入れたかったんだ。
でも、近付くことさえ無理になってしまった。
自業自得だけど。
英二には、辛い目遇わせたね…。
もう、無理だと分かったから。
それでも、「そっちの好きな人と幸せになってください」という気持ちにはなれない。
上手くいってしまうのが憎いほどだ。
自分中心の考えだね。
でも、それが本来の人のあるべき姿って気もするけど。
本当に、好きだから。
絶対に、手に入れたい。
でも、無理矢理奪ったって結局は何も残らないんだ。
「身体は手に入っても、心は手に入らなかったんだね…」
ごめんね、英二。
大好きだよ。
大石と、幸せにね……。
「……ははっ…」
『ピリリリ…』
自分に考えに苦笑いした時、携帯の着信音。
「……もしもし」
『あ、不二か?』
聞こえた君の声に、素直に対応しながら、
心の中では、先程のことが巡る。
「…手塚。どうしたの?」
『いや…急に声が聞きたくなってな』
「そう………ねぇ、手塚」
『ん?』
顔が見えない電話越しに、言った。
「僕が愛してるのは、君だけだよ……」
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手塚国光
2002/12/18