* skew position -part.7- *
…何やってんだろ、オレ。
海堂を好きになろうとしたの、誰?
オレ。
抱いてくれって桃を誘ったの、誰?
オレ。
…全部オレじゃん。
何、自滅してんの……。
自分でやったことじゃん。
大石に愛想尽かされたって当然だよ。
なのに…
何で涙が止まらないんだよ……。
バカバカバカ。
オレのバカ。
なんて、何度言っても変わらない。
もう、オレは大石に嫌われた。
だってオレが嫌ってくれるように仕向けたんだもん。
必死に、冷たい態度とって。
オレは、汚れてしまったから。
大石には、近づけないと思ったんだ…。
本当に本当に好きだったから、
嫌ってほしかったんだ。
自分は汚れてしまったから、
大石の優しい笑顔が痛かったんだ。
罪悪感で、一杯。
離れなきゃって思った。
…本当に愛しているからこそ、
嫌ってほしかった。
愛してるから、
嫌ってほしくない。
………。
――オオイシ。
…オレは海堂のことを好きになろうとした。
海堂は乾と付き合ってるんじゃないかって、なんとなく分かったから。
もしオレが好きになっても、
相手もこっちを好きになることはないんじゃないかって。
向こうには…いい迷惑かもしれないけど。
でも、オレはその手を選んだ。
オレは大石のことを忘れられて、
大石はオレのことを嫌いになって、
それで…いいはずだったんだ。
でも、やっぱり無理に人を好きになるなんて無理で。
海堂はいい後輩だったし好きだったけど、違うスキで。
大石のことを取り払ってくれることなんて、無かった。
『エージ先輩…俺と付き合いませんか』
―5分くらい前、桃に言われた言葉。
躊躇いも無く、頷いている自分がいた。
…桃には悪いけど、心の奥から桃が好きで
付き合いたいって思ったんじゃない。
大石のこと、忘れたかったのかな…。
立ち直るまで、縋り寄るものが欲しかったのかな…。
意味不明だよね。
嫌ってもらおうとしてるうちは冷たい態度とって、
でもいざ別れそうになると、泣きついてるんだもん。
必死に嫌われるように努力して、
念願かなって別れて。
それで泣いてるんだもん。世話無いよね。
オレ、なんてバカなんだろ…。
それもこれも、あの日オレが穢れてしまったこと。
それまでは、全部順風満帆だったのに。
あの日…全てはあの瞬間から。
オレは罪意識を抱えることになってしまった。
それでも好きなんだよ、
大石……。
本当は、離れたく、ナイ。
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桃城武
2002/09/24