* THE BLIND GOD -part.3- *
「ダブルスはAコート、他の者はシングルスの練習!」
手塚の掛け声が掛かって、俺はAコートへ向かった。
最近、Aコートで俺と英二がダブルスの
練習をするというのは、定位置化している。
昨日もそうだったし、一昨日もそうだった。
そして、きっと明日も…。
「――」
…なんだ?
英二の様子が、何かおかしい…。
「…英二?」
「はにゃ?あ、大石!頑張ろうね!」
不思議に思って、俺は肩に手を乗せた。
すると、ビクっと全身を振るわせた。
振り返った笑顔も不自然だし…。
言葉にも何となく元気が無い。
…何かあったのか?
「英二、練習には集中するぞ」
「当ったり前じゃん!」
「でも…無理はするなよ」
「うん。ありがと」
英二は少々はにかんだ笑顔を見せた。
…絶対に、何かあったな。
もしくはこれから何かがあるか……。
いやいや。俺のほうこそ集中しなきゃな。
練習中は、考えるのはよそう…。
**
「英二、頼む!」
「え、あっ……」
『バシッ!』
不二の放った打球は、英二の横を抜けて
綺麗にコート上に決まった。
「ごめん、大石…」
「どうしたんだ、今の取れない球じゃないだろ」
「大丈夫…次は取るから」
「……」
明らかに、集中力が欠けてるな…。
どうしたんだ?
悩み事でもあるなら、相談してくれればいいのに…。
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→Eiji Kikumaru
2003/04/23